ボルトエンジニア

工学講座 ボルト・ナット締結の知識

質問2

ボルトの締結で、ねじ山の荷重分担割合は?

回答

有限要素法(機械構造物を小さな要素に分割して、コンピューターで強度計算)
で計算した結果が以下の通りです。

【計算条件】
・ M16並目ねじ、ねじピッチ2mm、
・ボルト軸応力100MPa(ボルト軸力:約19kN)
・はめあいねじ山数:6山から12山まで変化
・摩擦係数μ=0.05、0.1、0.15、0.2、0.3

ねじ山の荷重分担率グラフ(摩擦係数0.1)

  • 数値結果から、ねじ山が均等に荷重を受け持っていないのが分かる。
  • 第1ねじ山(ナット座面近辺)が最大の荷重を受け持ち、第2、第3ねじ山となるに従い、ねじ山の受け持つ荷重は減少して行く。
  • ナット高さを大きくして、ねじ山数を増やしても第1ねじ山(ナット座面近辺)の荷重負担率、及び応力そのものも僅かに減少するものの、さほど大きく減少しない。言い換えればナット高さを大きくして、ねじ山数を増やしても、ボルト及びナットの強度向上の面では、さほど有効な効果はない。
  • 摩擦係数が大きくなると、第1ねじ山(ナット座面近辺)の負担率は、僅かに増加する傾向がある。この意味で、ねじ部に潤滑材を塗布することは、ねじ部の応力を下げるので、僅かながらもねじ強度を上げるのに役立つ。

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